画質を落とさずに動画に透かしを入れる方法
映像の一部として透かしを入れるには、動画をもう一度エンコードする必要があり、エンコードのたびにわずかに画質が落ちます。適切な設定にすれば、その劣化は気づかないほど小さく抑えられます。ここでは、何を選び、何を避けるべきかを説明します。
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透かしを入れると再エンコードが必要な理由
動画ファイルは、すべてのフレームを完全な画像として保存しているわけではありません。一部のフレームだけを完全な形で保存し、残りは前後のフレームとの差分として、H.264やH.265などのコーデックで圧縮しています。映像に透かしを入れるには、すべてのフレームをデコードし、透かしを描き、もう一度圧縮しなければなりません。
圧縮のたびに細部が少しずつ失われるので、コピーのコピーは元の動画より見劣りします。再エンコードなしで透かしを入れられるとうたうツールは、別のオーバーレイを重ねているだけで、プレーヤーで非表示にでき、誰でも取り除けます。映像に焼き込む透かしには必ずエンコードが1回増えるので、目指すべきはその1回を質の高いエンコードにすることです。
画質に関して透かしの大きさがほとんど関係ないのも、これが理由です。小さなロゴでも大きなロゴでも、かかるエンコードは同じです。重要なのは設定と、元にするファイルです。
手元でいちばん良いファイルから始める
一度失われた画質は戻りません。カメラやスマホの元のファイルか、編集ソフトから高画質で書き出したファイルを使いましょう。SNSからダウンロードした動画やメッセージアプリで送られてきた動画は、どちらも強く圧縮されているので使わないでください。
動画編集ソフトで編集しているなら、ProResのような編集用の形式はこのツールでは開けないので、マスターは高ビットレートのH.264かH.265で書き出しましょう。どのみち編集ソフトから書き出すなら、そこでロゴを入れればエンコードを1回まるごと省けます。透かし入れを別の工程にするのがいちばん理にかなうのは、完成済みのファイルから始める場合です。
始める前に、手元のファイルを確認しましょう。スマホやカメラから取り込んだままのファイルは、同じ動画をSNSアプリから保存したものより、1分あたりのサイズがたいていずっと大きくなります。ファイルサイズは、どれだけ細部が残っているかの大まかながら役立つ目安です。
元のサイズを保つ
動画を縮小すると細部は永久に失われるので、小さいファイルが必要でない限り、サイズは「Original」のままにしましょう。プラットフォームはアップロードされた動画から独自に小さい版を作るので、フルサイズで渡したほうが、元になる情報が多くなります。
とはいえ、縮小が理にかなう場合もあります。スマホ中心のアプリにしか投稿しない4K動画や、メールや共有ドライブに収める必要がある一括処理などです。その場合は1080pを下限の目安にし、720pはプレビューや手軽な共有用にとどめましょう。
見栄えを良くしようと動画を拡大するのはやめましょう。拡大してもピクセルが増えるだけで細部は増えず、ファイルが無駄に大きくなるだけです。
最高画質なら「Standard」を選ぶ
Watermark Readyの「Standard」は、元のサイズのまま高画質の設定でH.264にエンコードします。H.264はどこでも再生できるので、マスターとして保管する動画やアップロードする動画には安心な選択です。
「Smaller file」は、ブラウザが対応していればH.265(HEVC)、対応していなければH.264を使い、サイズを1080pまでに抑えます。H.265はH.264より少ないデータ量で同等の映像を表現できるので、ファイルはかなり小さくなりますが、この設定では「Standard」より細部が多少失われます。また、古い機器の中にはH.265を再生できないものもあります。
ブラウザがH.265のエンコードに対応していない場合でも、「Smaller file」はH.264を使って最大1080pで書き出します。サイズの上限と軽めの設定でファイルは軽くなりますが、H.265による上乗せの削減効果はありません。
保管用やクライアントに渡す動画は、「Standard」でサイズを「Original」にしましょう。「Smaller file」は共有や保存用にとっておきます。
エンコードを重ねない
画質がいちばん大きく落ちる原因は、透かしそのものではなく、エンコードの繰り返しです。いちばん良いファイルから1回だけ書き出し、そのファイルをアップロードしましょう。すでに透かしが入っている動画や、どこかからダウンロードした動画に透かしを入れるのは避けてください。
透かしのない元のファイルは残しておきましょう。あとで別の透かしを入れたいときや、透かしなしの版が必要になったときは、透かし入りの動画ではなく元のファイルに戻って作業します。書き出した動画の透かしはすべてのフレームの一部になっていて、取り除けません。
透かしを入れたあとの編集も同じです。透かし入りの動画を別のアプリでトリミングしたりカラーグレーディングしたりすると、エンコードがもう1回増えます。そうした作業は先に済ませ、透かしは最後に入れましょう。
どうしても変わること
映像に焼き込む書き出しでは、いくつか必ず変わる点があります。HDRの映像はSDR(標準ダイナミックレンジ)になるので、明るいハイライトはHDR対応の画面で見るより控えめになります。音声はMP4に格納できる形式ならそのままコピーされ、できない場合は再エンコードされます。フレームレートと長さはまったく変わりません。
端末による制約もあります。動画を扱うには最近のChrome、Edge、Safari、Firefoxが必要で、長い動画や4K動画は、メモリの少ないスマホよりパソコンのほうがうまく処理できます。動画はお使いの端末上で処理され、アップロードされることはありません。
長い動画がスマホで失敗したら、設定を下げる前にパソコンで試してみましょう。メモリに余裕があればそれだけで成功することが多く、画質もそのまま保てます。
仕上がりを確認する
問題が最初に表れやすいシーンで、書き出した動画と元の動画を原寸で見比べましょう。空や壁のようななめらかなグラデーションにはバンディング(階調の段差)が、速い動きや、水面、木の葉、紙吹雪のような細かい質感にはブロックノイズが、暗いシーンには影のムラが出やすくなります。
「Standard」でサイズを「Original」にしてもこうした問題が見られるなら、元のファイルがすでに強く圧縮されていた可能性が高いでしょう。もっと良い元ファイルがあれば、そちらを使いましょう。なければ、そのファイルで実現できる最高の仕上がりになっています。
映像を見るだけでなく、音も聴いて確認しましょう。MP4に格納できない形式の音声は再エンコードされるので、珍しいカメラやレコーダーで録った動画では、静かな部分と大きな音の部分をチェックします。
通常の速度で再生して判断するのではなく、動きの速いシーンで一時停止してみましょう。動いていると気づきにくい問題も、止めたフレームではっきりわかります。